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アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

野田真史


2011年8月4日〜26日にかけてトマスジェファーソン大学(以下TJU)皮膚科でエクスターン研修を行ったので、ここに報告します。私は現在皮膚科で3年間の研修を終え、大学院に属して診療と基礎研究を行っています。医学部生の頃からアメリカのResidencyには大変興味を持っており、今回野口医学研究所のサポートのもと、アメリカで研修させてもらいました。学生の頃にもジョンスホプキンス大学皮膚科で研修をしたことがありましたが、日本で診療を経験してから改めて研修を行うと日本とアメリカの医療の違いが明確になり、非常に有意義な研修となりました。
毎日の生活は7時〜8時にレクチャーもしくは抄読会が始まり、そのあと9時からクリニック、約1時間の昼休みを挟んで17時まで再度クリニック、という流れでした。こちらで医療行為はできないため、レジデントが診察するのについて回り、そのあとにAttendingと相談してもう一度一緒に患者を診察していました。こうすることで、Residentは患者を見るたびにAttendingの指導を受けられるというシステムです。また、カルテは電子カルテで非常に詳細な記載をします。この点も日本では再診以降はかなり簡略化したカルテになることに比べると対照的です。教育にはいいシステムですが、診られる患者の数には自ずと制限がかかってしまいます。予約患者は35人/日程度でさらに予約があっても実際には訪れない患者が多いため、実際には20-25人/日を一人のAttendingが診ていることとなります。これは日本と比べるとかなり少ない数でした。
また、アメリカの皮膚科では分業が進んでいて、臨床を行う医師と研究を行う医師がはっきりと分かれているという点が日本と大きく異なります。TJUではほとんどのAttendingが臨床のみに従事しており、研究を行っているのはChairmanを含む2人のMDとPhDのみのResearch facultyでした。そのため、皮膚科のResidentは12人いましたが、Residencyの間にはラボには出入りしていません。以前は研究を中心に行っていたという外国からきたResidentもいましたが、臨床のノルマが多くてとても研究に割く時間はないとのことでした。17時に終わるため、時間的な余裕は非常に多いのですが、毎月2冊月刊の臨床系皮膚科雑誌を通読、毎朝のレクチャーのために1冊あたり千ページもある本を年間3冊読む必要があり、帰宅してから読書をしているということでした。私は大学院の基礎研究に大きな時間を割いているため、最近では臨床の知識をアップデートする暇があまりありませんでした。そのため、こちらのResident、そしてAttendingが持つ最新の知識と教育能力には圧倒され、やはり臨床、研究のどちらかに集中しなければその分野のエキスパートにはなれないのではないか、という感じを受けました。
私がこの研修で研修前に目的としていたのは@将来レジデンシーを行う際に必要な推薦状をもらう、A滞在中に論文を投稿する、B臨床能力を磨く、というものでした。@に関してはこちらでお世話になったAttendingにも相談したのですが、皮膚科はアメリカ人の医学生に最も人気がある科であり外国人がResidentのポジションを得ることは非常に難しいということでした。ただ、研究をアメリカで行いその大学のFacultyに認められれば前例も何例かあり、不可能ではないということでした。アメリカで実際にResidencyを行うのは非常に難しいということを改めて思い知りましたが、TJUのあるAttendingには将来Residencyに応募する時には推薦状を書いてくれると快く言ってもらい、さらにアドバイスももらい、非常にSupportiveで感謝しています。Aに関しては患者2人以上の研究を行う場合には倫理委員会を通す必要があるとのことで、その願いはかないませんでした。その代わりにCase reportを書かせてもらい、実習中に投稿することができました。臨床研究ができなかった点はやや残念ですが、Publicationを出すことができ、その点では満足しています。B3年も皮膚科を日本で経験すると学ぶことも少なくなっているのではないか、とも思っていましたが、それは大きな間違いでした。臨床の知識を毎週アップデートしていること、教育が充実していること、人種差による有病率の差が日本と大きいことなどから、自分の力不足を思い知らされることが何度もあり、臨床の知識を日々更新していかなければいい医療は実現できないと感じました。また、Residentのうちからお互いに知識を教えあうのが当たり前になっており、指導力にあふれるAttendingばかりでした。この点も日々気をつけて立派な指導医になれるよう努力する必要があると感じました。
このような機会を与えてくださった野口医学研究所とTJUの皆さまに非常に感謝しています。どうもありがとうございました。

津田武先生からのコメント

 

 

TJUのDermatologyでのエクスターン研修、ご苦労様でした。ご指摘のとおり、アメリカでのDermatologyはあらゆる診療科の中でも最難関部門でアメリカ人でも中々採用してもらえないポジションだと思います。私も以前このDermatology and Cutaneous BiologyのResearch Facultyを勤めたことがあり、私が知っているだけでも二人の外国人医師が研究から臨床のレジデントとして採用されたことを覚えています(二人とも仲の良い友達です)。基礎研究を続けるのなら、これからチャンスはあると思います。このエクスターン研修が先生の将来の方向性を決めるのに何かしらの指針になったのではないかと察します。これからも頑張って下さい。
津田 武

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