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アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

大平純一朗

 2013年3月末に野口医学研究所を通してClinical Skills Programに参加させて頂き、Thomas Jefferson University Hospitalで1週間の実習をさせて頂きました。野口に応募されて参加したメンバーは、アメリカで将来働きたいという明確な志がある方が多かったですが、僕の場合は、「アメリカの医療を見てみたい」「日本の医療との違いはどこにあるのか」という気持ちで応募させて頂きました。大変いい経験をさせて頂き、野口の方々・TJUのスタッフの方々に心から感謝いたします。
 今回は1週間のプログラムで、日本での通常のポリクリに近い実習をER, General Medicine, Family Medicine, Pediatricsでさせて頂き、また、simulation canterで講義を受けました。そして実践型実習JeffHOPEも体験しました。実習の内容について、僕が気づいた、または教えてもらった日米の差に注目して詳しく書かせて頂きます。

 

・ER
1, 2日目の午前中はERの見学をさせて頂きました。まず驚いたのは50床以上というERのベッドの多さです。日本ではこれほどベッド数があるERを見たことがありませんでした。TJUの徒歩圏内に他にPennsylvania UniversityやDrexel Universityがありそれぞれ大きな病院を持っている、患者さんはERに長く滞在するわけではない。にもかかわらず、ベッドは結構埋まっていて驚きました。
症例としては、日本ではほとんどいないsickle cell diseaseの方がいらっしゃってすごく興奮しました。(1週間で二人見ました)Philadelphiaではmajorな疾患らしいです。日本では鑑別に上がることもないですが、こちらでは先生方もfollow upに慣れているようで、国が変わるとその違いが医療に影響してくることを実感しました。
ERでもう一つ気づいた点は、お腹の大きい女医さんがいらっしゃることです。妊婦さんでした。日本では妊娠中に普通に働いている女医さんは(僕は少なくとも)見たことがありません。妊婦さんが働くことは日本でも可能だとは思いますが、出産、子育てに対する支援はアメリカの方が充実しているように感じ、日本はその点まだまだ発展途上だと感じました。日本でも特に産婦人科や小児科では女医さんへのサポートが充実してきている印象がありますが、少子高齢化が社会問題になっている現在、出産・子育て支援を充実させるべきであることを再認識させられました。

 

・General Medicine
1日目の午後、3日目の午前はGeneral Medicineの見学をさせて頂きました。入院患者さんの一覧を頂き、そこに現病歴やphysicalも載っていたので質問せずしてある程度把握できたので助かりました。医局のようなところでわからないところを質問したらかなり丁寧に答えてくれました。ERの時よりも先生にゆとりがあるようで僕たちにも時間を割いて下さいました。患者さんに関する基本的な質問は学生に聞いても丁寧に説明して下さいました。3日目は回診で、学生がchief residentにプレゼンをして追加事項があれば担当のresidentが口を挟むという形式でした。しかし、僕のlistening skillでは速いプレゼンを聞き取るのは難しく、資料を使って何とかcatch upできるところがあるというレベルでした。
学生を見て感じたのは、いかにアメリカのポリクリが実践的か、です。日本では数人の患者さんを受け持ったとしても現病歴や自分でとったphysicalを「プレゼンさせてもらう」のが背の山です。一方TJUでは、学生は明らかにチーム医療の一員になっていました。学生がいないと仕事が回らないとおっしゃる先生もいらっしゃったくらいです。むしろ日本の研修医に近いと思います。その分責任はあり雑用的なことも多いとは思いますが、やりがいはあるでしょう。

 

・Family Medicine / Pediatrics
4日目の午前にはFamily Medicine、5日目の午前にはPediatricsの外来を見学しました。Family Medicineではintern (resident一年目) が一人で外来担当をしていて、学生のときにpracticalな実習をしているだけのことはあるなあと感じました。もちろん上級医にはコンサルトしていましたが。また、時間に関してですが、一人20分を設けて予約制になっていました。噂通り、日本に比べるとゆっくりと雑談を交えながら患者さんやご家族の方の話を聞いており、急いでいる様子はありませんでした。ただ、驚くことに、予約している患者さんの一部は遅れるまたは来ないのです。ひどい日では、半分くらい来ないそうです。No showが並んでいるパソコン画面を見せられた時は衝撃的でした。前もって予約する必要があるから診察日が来る頃には治ってしまうのでしょうか。
他に驚いたのは、BMIの大きい患者さんが予想以上に多いことです。Obesityがあるのがデフォルトでした。また、加入している保険に関して常に聞いていたのも印象的です。英語に関しては、プレゼンとは違ってゆっくりだったため、聞き取りやすかったです。

 

・Simulation Center
上記以外の空きコマはDr. Majdanによる講義でした。心音、ECGのlectureや人形を用いた手技のlectureを冗談を交えながらして頂き、また、英語はとてもゆっくりでわかりやすかったです。4コマもあったのでもう少し少なくして病院を見たい気持ちもありましたが、講義は講義でとても楽しかったです。M2の学生と一緒にmuscular skeletonの診察に関する講義も受けましたが、日本で受けたことのないような講義だったので新鮮でした。人形の数が日本とは比べ物にならない程充実していることも特筆すべき点です。アメリカの教育は徹底して実践的だと思いました。

 

・JeffHOPE
今回の実習のメインイベントと言っても過言ではありません。位置づけとしては任意の参加でしたが。週に数回TJUの近くのホームレスシェルターで行われている企画で、TJUの学生の有志が参加していました。ホームレスの患者さんをM4とM1, 2の学生が組になって無料で診察し、処方まで考えた後にdoctorにプレゼンして処方の許可をもらうという内容でした。薬も期限切れのものを無償で手に入れたものを使っており、ホームレスの方々としても無料で診療が受けられるということで、win winの関係でした。学生のうちから病院の外来のような経験をじっくり時間をかけて経験できるため、とても魅力的でした。僕は、M4の学生とタッグを組みましたが、history takingを一人でさせてもらったためとても勉強になりました。いかにもアメリカらしい企画ですが、日本にも持ち込めたらどんなにいいか、と心から思いました。

 

 以上、内容について書かせて頂きました。僕にとっては教育の違いが日米の差の根本にあるように感じました。(考え方が違うから教育の差にもなっているとも言えます)そもそもアメリカの学生の方がモチベーション・能力ともに高いように思えます。それは、大学を出てからmedical schoolに合格しているというハードル、そして、USMLEの点数が将来に重要になってくるので頑張らざるを得ないとう状況ゆえのものだと思いますが、日本でも教育の質を上げて学生のモチベーション・能力ともに上げる努力をするべきだと感じました。
 僕がこのプログラムに申し込んだ理由がもう一つあります。それは、同じような志をもつモチベーションの高い医学生に出会うことです。幸か不幸か、今回のメンバーは素晴らしい経歴の持ち主で能力の高い方ばかりで、僕など到底及ばない方々でした。1週間を通じて親睦を深めることができたことをとても嬉しく思います。このようなconnectionがpricelessであり、将来役立つと信じております。
 末筆になりましたが、partyも含めこのような素晴らしい機会を提供して下さった、野口医学研究所の関係者の方々、特に、TJUでお世話になった方々、そしてTJUの方々に厚く御礼申し上げます。

 

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