米国財団法人 野口医科学研究所

サイトマップ

お問い合わせ

HOME

 
設立趣旨 あゆみ 組織概要 臨床留学プログラム アラムナイ活動及び研修レポート セミナーのご案内 野口ニュース
アラムナイ活動及び研修レポート
臨床留学プログラム

アラムナイ主要メンバー

USMLE体験記

CV・PSについてのアドバイス

本のご紹介

臨床留学プログラム

臨床研修レポート

ジャーナル掲載記事

アラムナイ活動及び研修レポート

TOP  アラムナイ活動及び研修レポート  臨床研修レポート

アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

村田 彩子

 今回私は、私はこの度、野口医学研究所の主催するトーマス・ジェファーソン大学での一週間のClinical Skills Programに参加させて頂きました。個人ではなかなかこのような充実したプログラムを組むことは難しく、このプログラムを作り上げ、提供していただいたことに非常に感謝しております。
実習が始まる前の週の金曜日にオリエンテーションが始まったことは大学と病院の様子やフィラデルフィアの街に馴染みながら時差ぼけ治すのにとても良いスタートとなりました。自国語でないこと、なれない環境であることを考えると、時差ぼけを治していないと非常に疲れる日々だったのではないかと思います。
 月曜日からは実際の病院でのobservationが始まり、Emergency Medicine、Internal MedicineのInpatient round、Family MedicineとPediatricsのOutpatientsの見学、そしてSkills and Simulation Centerを見学、実習し、最終日はOSCEを実際に行い、録画してもらうという非常に為になる実習の連続でした。
 ERは忙しさ、患者さんの主訴など、自大学の実習で感じたものと近く、逆に一般内科では、roundで、一人の患者さんに対しての治療方針についてのdiscussionの長さなどは驚くほどでした。学生を含めResident、Attendings の先生方が忌憚なく議論を交わしていたことが印象に残っています。
 また、Family Physician Dr. Altshuler についてシャドウィングをした時のことは特に印象深いです。実際に4人の患者さんの問診からカルテを書き、プレゼンテーションをし、少し先生から質問を受けたあと、先生と再び診察を行います。実際にやって見て、医学的な知識不足はもちろんのこと、自分が聞き出せなかったこと、アプローチの未熟さを毎回痛感しました。Dr. Altshuler が、患者さんに、一緒に問題を解決しいく、companionateという態度が大事だとおっしゃっていたことが印象的でした。移民の患者さんも多く、家族関係にしっかりと気を配り、診察室にはいない他の家族の健康状態や精神状態を気にかけていたことは、家庭医を目指す中で一つのロールモデル的姿でした。患者さんも協力的で、じっくりお話を伺うことが出来ました。
 小児科はresidentの先生についてまわりました。毎回どう思う?と聞かれ、拙いながらも一緒に鑑別診断などを考えることができたのは良い経験となりました。
  Clinical Skills and Simulation CenterではMajdan先生にシュミレーターを使って手技とレクチャーが一緒になった実習を行いました。上部、下部内視鏡、気管支鏡、腹腔鏡のシュミレーターは、初めて扱うことができ、とても楽しかったです。患者さんの危険がないと言う安心感はあるものの、気管支鏡でCT写る腫瘍を探していくなど、非常に臨床的なトレーニングでした。
 腰椎穿刺、動脈血採取、内頸静脈外頸静脈などCVを取るためのエコーなどもシュミレーターで行いました。頸静脈がどれだけ表面に近いのか、どうしたらエコーで刺入部をうつせるのかなど、やって見ないとわからないことが患者さんにあたる前に一回でも体験できたのはとても貴重なことだと思います。
 最終日には、Dr. Majdanの教育回診に付き、心音などの身体所見を実際の患者のベッドサイドで行いました。Dr.Majdanに病態生理的な説明を通しながら一つ一つの所見を示していただき、ARの患者さんのQuinke兆候など一生忘れないよう目に焼き付けました。
 最終日のSPさんに行ったOSCEは、緊張もしましたが自分でどこまでやれるかを試す良い機会となりました。同時に、待ち時間にDr. Majdan とアメリカの医療や日本の考え方など、非常に深いお話ができたことが何よりの貴重な時間でした。医療に対する真摯な気持ち、学生や研修医を愛情深く教育するDr. Majdan との会話は、私の気持ちを将来へとさらに奮い立たせるものとなりました。

 全体を通して医学教育と医療について以下のことを強く感じました。
 まず、教育のことに関しては、非常に実践的であると感じました。手技を早くから訓練できる場が与えられている点や、医学的知識という机上の学習より、患者、コメディカルとの関わりや、医師としての精神に重点を置いて教育されており、他者との関係性としての医師養成を強く感じました。また、病院内では「医学生は明日の医師である」という意識が、教育者たる医師やコメディカル、患者さんにまで浸透していました。医学生は失敗を恐れずどんどん医療現場に入ることができ、より実践的な経験が積めるよう、環境的な担保がなされている印象的でした。
 次に、医療そのものについては、アメリカの医療の合理性を感じたのはもちろんですが、同時に、漠然とではありますが、医療に国境はないと改めて実感しました。そのことは取りも直さず将来への希望に繋がっています。
 今回は表面的な観察だったかもしれませんが、それでも都市部の病院がどうやって機能しているのか、それは東京とどう違うのかを垣間見ることができました。その中で、医療というものが一つの社会の中で非常に大きなウェイトをしめていて、それはインフラであり、経済や産業、ひいては文化でもあること、そこに関わる問題は複雑で、世界共通の問題がいくつもある、と感じました。高齢化、医療費の高騰、生命の長短を扱う上での倫理的問題など、どの国も戦わなくてはいけない巨大な問題です。であるからこそ、医師が他国の状況を知り、色々な文化、社会から知恵を交換し合うことが出来たら、医療における可能性ももっともっと広がるのではないかと感じました。時として閉塞感すら感じる日本の社会の中で、私自身も外に出て、日本を外から見て、何か答えを見つけ出し、それを日本で生かして行けるかもしれないという希望をもてたことが今回の大きな収穫の一つであったと感じています。

 津田先生、佐藤先生、O'Malley先生、Pohl先生、Gonnella先生など、素晴らしい先生方と非常に近い距離で豊かな経験に基づくお話を伺えたことは、何にも変え難いことです。その意味でも、Radiさんの細やかなプログラム策定にも、感謝申し上げます。

 最後になりましたが、このような機会を下さった浅野先生、Mr. Michael Kenney、矢野さん、その他野口医学研究所、TJUのスタッフの方々、現地でお会いしたすべての病院スタッフの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

・アラムナイ活動
 アラムナイ主要メンバー
 USMLE体験記
 CV・PSについてのアドバイス
 本のご紹介
・ジャーナル&研修レポート
 臨床研修レポート
 ジャーナル掲載記事