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アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

天野 太史

 

私は3/26から3/30までの5日間、野口医学研究所のご支援のもと、フィラデルフィアのトーマスジェファーソン大学(TJU)病院にてClinical Skill Program(CSP)に参加いたしました。本レポートではこの研修の大まかな内容と、この研修にて私の印象に残った事を報告したいと思います。このレポートが「この研修に興味を持っている方」と「アメリカの医療に興味のある方」に対して、多少の参考になれば幸いです。

 

当研修について
 当研修の内容は大きく3つに分けられると感じました。1つはTJU病院の臨床チームの一員に加わり、実際のアメリカの医療現場を体験すること。2つはTJUのSimulation Lab等の設備を見学し、実際にそれらの設備を用いてアメリカの医学生が行っている医学教育を体験すること。そして3つは毎日の昼食会、夕食会にて野口医学研究所の浅野先生やMr. Kennyからアメリカ臨床留学についてのお話を伺い、またTJUの津田先生、佐藤先生やPohl先生など実際にアメリカで臨床・研究の一線で活躍されている先生方からアメリカの医療についてお話を伺うということです。研修プログラムは朝から夜まで様々な予定が詰まっており、TJUの医学生の方々が歓迎会を開催して下さる機会等もあり、非常に楽しく充実した内容でした。

 

アメリカの医療現場の体験
 当研修ではER、内科(一般内科・腫瘍内科・循環器内科)、家庭医外来、小児科外来の医療現場の体験を行いました。アメリカの病院では基本的にAttendingと呼ばれる上級医をリーダーとしたResidentとInternと医学生(M3, M4)からなる4〜5人程度のチームにて臨床を行います。私達研修生は各チームに一人ずつ配属され、実際の臨床の様子を見学しました。ドクターも医学生も忙しそうでしたが質問をしても良いか尋ねれば、皆さん”Sure!”と快くどんな質問にも答えて下さったため、積極的に質問をぶつけることで多くの事を学ぶ事が出来ました。
当研修にて最も驚いたことは、M3, M4つまり日本で言う医学部5, 6年の学生が臨床チームの一員として責任を持って業務に当たっていたという事です。例えば内科では学生がチームで担当している患者全員の状態を把握しており、pagerというポケベルも渡されて患者の急変時には学生も呼ばれるとの事でした。またERでは、Walk in で来院した患者に対してM4の医学生が、自分は医学生であるという事を患者に説明した上で、一人で問診と身体診察を行っており、必要であれば髄液検査などの検査も行うとのことでした。医学生による問診は非常に堂々として手慣れたものであり、患者の主訴に即した問診をすらすらと行い、システムレビューも漏れなくこなしていました。身体診察も非常に手慣れており、泣きわめく子供に対する耳鏡を用いた診察や口の中の診察なども手際よくこなしていました。さらに印象深かった点として、アメリカではERや小児科の外来で自分や自分の子供を診察する人が医学生であっても、患者がそれを当然のことのように受け入れているという事でした。このことからアメリカの医学生が臨床現場において、日本で言うところの研修医かそれ以上の社会的な信頼感を得ていると感じました。これらの信頼感の背景にはアメリカの医学生がM1, M2の間にも問診や身体診察のトレーニングを十分行い、さらにM3、M4を通じて責任を与えられた状況での臨床トレーニングを積んでいるという社会的な認識があるように感じました。自分たち日本の医学生が日本でアメリカの医学生と同等の病院実習を行う事は難しいと考えます。しかし、それでも少しでも主体的・積極的に病院実習にて患者とかかわる機会を増やすべく努力しないと、アメリカの同期の医学生との差は開くばかりだと実感し、今後の病院実習において非常によい刺激を受けました。
当研修では医学生の業務に対する関わりの違い以外にも、プレゼンテーション・議論重視の現場の医師教育文化、効率化・システム化された医師の労働環境、家庭医・腫瘍内科医などの日本の大学病院にはまだ根付いていない診療科、国民皆保険ではないアメリカの医療に関わる諸問題とそれらに対する医療者の対応、Sickle Cellによる血流障害等の日本では稀な疾患など、日本の医療現場とはまったく異なったものに触れる事が出来、非常に見識が広がりました。

 

 アメリカの医学教育環境
TJUのSimulation Lab等の設備を見学して感じたことは、学生の教育のための設備が日本の大学病院と比べて遙かに充実しているという事でした。例えばTJUの先生方には学生実習用の診察室や手術場が用意されており、全ての部屋はビデオで部屋の中の様子を録画でき、各学生の実習の振り返りを行えるようになっていました。学生実習室には助産師実習モデル人形もあり、医学生はここで正常分娩介助の練習を行い、産婦人科の実習にて実際の介助を行うとのことでした。またSimulation Labでは、腹腔鏡や上部・下部内視鏡・気管支鏡のトレーニング機材を体験し、エコーガイド下内頸静脈穿刺・鼻管チューブ・腰椎穿刺の練習も行う事が出来ました。また実習の最後の行ったOSCEでは、学生用の診察室にて模擬患者が待機している状態で、15分間の制限時間の中で患者に対して問診・身体診察を行って鑑別診断を行い、検査・治療方針を患者に説明するという試験を2例行いました。日本で行った儀式的なOSCEとは異なりPracticalな内容で、非常に楽しく実りのある経験ができました。

 

最後に
 本研修にて、アメリカの大学の医学教育環境と病院実習が医師の臨床能力を高めるという点に重点を置いているという事を強く感じました。そしてそれらのトレーニングを受けているアメリカの医学生・レジデントの臨床能力の高さを感じました。今回の実習で目に焼き付けた医学生、レジデントの姿を忘れぬよう、これからの日本における病院実習でもアメリカを意識したPracticalな実習を行う努力を続けたいと感じました。
 そして本研修でしみじみ感じたことは、TJUのドクター、レジデント、医学生、スタッフの皆様がお忙しい中で、我々のような何の実績もない日本人学生に本当に多くの時間と労力を割いて下さったという点です。これもひとえに野口医学研究所を通じて多くの日本人医師の皆様がアメリカにて活躍してきた実績があり、私達医学生にも同様の期待をかけて頂いている事の表われであると感じました。今回の経験を糧に、世界を意識した幅の広い医療者になるべく努力を続けたいと改めて感じました。

 本研修は、私のようなアメリカの臨床実習提携校がない地方の医学部の人間にとって、非常に有り難く素晴らしい機会を与えて頂きました。浅野先生やMr. Kenneyをはじめとした野口医学研究所の皆様と、津田先生、佐藤先生、Pohl先生、Majdan先生、Gonnella先生をはじめとしたTJUの皆様に心より御礼申し上げます。
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