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アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

上原 万知

 今回、野口医学研究所からThomas Jefferson University Hospital における Clinical Skills Program に参加する機会を与えていただきました。東日本大震災の直後の出発だったこともあり、自国を案じつつアメリカの医学教育を勉強させていただけることへの感謝と期待を感じながらの参加でした。9日間は長く、そしてあっという間に過ぎました。プログラムの内容はER、Internal Medicine、Family Medicine、Pediatricsの見学や、Simulation Centerでの心音の講義、臨床手技実習、OSCEなどと幅広く、とても貴重な経験をさせていただきました。
レジデントについて半日を過ごしたり、ドクターの診察に実際に立ち会わせていただいて一番感じたことは、アメリカでは学生などの身分に関わらず、チームが一丸となって患者さんという“人間”の治療にあたっているということです。日本では、学生が担当医と治療方針を一緒になって討論する姿はみられません。また、患者さん一人一人の持つ背景を汲み取ることよりも、その患者さんが抱えている“疾患”にどうしても焦点が行きがちです。アメリカでは救急患者さんの初診はレジデントが行い、それを元に鑑別診断を挙げ検査に移っていて、学生も含めたチーム医療が成り立っていると感じました。それに、家庭医や小児科での外来では一人の患者さんに30分前後の時間をかけており、その患者さんの日常や気がかりなことなどと丁寧に向き合っていました。これを見ると、日本では3分診療が行われていると言われても仕方がない、と思ってしまいました。また、時間を使って患者さんの背景を知ること、些細な心配事に耳を傾けること、患者さん自身の体に対する考え方や病気との向き合い方を知ることは、医者―患者関係を築く上でとても重要なことであり、それは患者さんの健康を保つ上で最も大切なことだと気付きました。
Pediatricsでは15歳の女の子の定期検診を行っていました。診察の初めは母親の同席のもと、最近の彼女の様子などを話し合って緊張を和らげていました。身体診察に移る時は母親に席を外してもらい、頭から足先までの診察を効率よく行っていきました。それが終わるとその子と正面から向き合い、タバコ、麻薬、アルコール、性のことを恥じらいなく真摯にディスカッションし、周りがどんなに囃し立てようとも自分の正しいと思うことをやるんだよ、と諭していました。単純に体の成長のことだけでなく、心の成長にもドクターは重要な役割を担っているのだ、と感じました。最後に母親を診察室に呼び入れて締めくくり、診察を終えました。 
他にも、医療現場における日本とアメリカの様々な違いを肌で感じることが出来ました。期待していた通り、アメリカが優れていると感じた点はやはり多かったです。しかし、日本の医療の方が勝っているのではないかと思った部分もありました。国民性も違えば医療制度も異なります。一概にアメリカの優れている点だけを日本に取り入れるのではなく、それを日本に合うようにアレンジして導入することが大切だと思いました。また、日本が勝っている点はそれをより一層高めていくことが必要です。
今回見学させて頂いたのは、アメリカ医学のほんの一部分ではありますが、本当にたくさんのことを見て感じて考える機会となりました。この場を借りて、研修をコーディネートして下さった浅野先生はじめお世話になった諸先生方、スタッフの方々に、心から深く感謝をしたいと思います。ありがとうございました。

                            

津田武先生からのコメント

 

 

アメリカの医療現場にあって、日本のそれにないもののひとつとして、「チーム医療」があります。こちらでは、患者ひとりに対して医師を中心としてチームがあたります。チームのひとりひとりが責任とidentityをもち、医師も彼らを尊敬することにより、このシステムが成り立ちます。そしてもうひとつ大切なことは、日本では医学生に「病気」のことを教えても、その「病気」をもつ「人」のことをあまり教えないような印象を受けています。病気を持つ患者の社会背景を配慮しながら診察する姿勢をここで学んだことは、大きな収穫と言えるでしょう。医療に関わるプロフェッショナルがそれぞれの立場から患者にアプローチして、そこから何かを「学ぼう」としている姿こそが、アメリカの医療の「良い」姿だと言えましょう。この短い研修が、これからいろいろなことを積極的に学ぶ端緒になればと願っています。
津田 武

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