野口医学研究所
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NOGUCHI NEWS LETTER

Vol.5  2006.9
 
Borderless Worldに向けた医学交流のあり方
 近年のinternetの普及、国際交流の日常化につれて、医学、医療の世界にも、国や時間の垣根を越えた新しいシステム、スタンダードの普及が必要となってきている。最近では、アメリカの夜間救急外来で 撮影されたレントゲン写真が、インドに住む医師により判読されている。 また、その逆もおこっている。悲しいかな、そのような状況は、現在の日本の医学教育システムのもとではおこりがたい。国際言語、国際基準を駆使できる医師を育てる土壌が、日本の医学教育にはいまだ確立していないのが大きな理由の一つと言える。医療の国際化という時代背景を踏まえた上で、野口医学研究所が今後目指すべき医学交流のあり方とは何であろうか?

佐藤隆美
トーマス・ジェファーソン大学  
腫瘍内科 准教授      
野口医学研究所 常務理事
 私は、これまでの野口の医学交流の基本路線である'人を育て、送り、支援する'というその基本路線を踏まえた上で、今後は以下のような点を特に考慮すべきではないかと考える:(1)国際言語である英語を基本言語とした、卒前、卒後医学教育の推進、(2)相互理解のための、双方向の医学交流の推進、(3)学問である医学と、サービスである医療との有機的連携の推進、そして(4)日本の医療、世界の医療の改善という観点にたった医学交流計画の策定、実施、結果の評価。具体的には、(1) 研修修了後の留学生の活動に関する"outcome research"の実施とその結果の選考課程への"feedback"、(2) 臨床研修を修了した医師のネットワーク作りの推進、(3)臨床研修者、研修修了者を受け入れる 医療機関のネットワーク化、(4)ある疾患に対する新しい治療、標準的治療に関する情報を患者に提供 できるシステムの構築、などがあげられる。 設立以来20数年。野口医学研究所は、多くの試練の中、紆余曲折を経ながらも着実に日米の医学交流を推進してきた。 野口医学研究所がこれまで築いてきた礎の上に、さらなる発展をとげるべく、官民を問わず、また、国を問わず、多くの方々が、野口の活動に参画していただけることを切に願っている。
 
理事新任ご挨拶と米仏医療

佐野潔
ミシガン大学 助教授
パリ・アメリカンホスピタル開業
野口医学研究所 理事
 このたび野口医学財団の理事に就任させていただくこととなり、財団としての活動およびその社会的任務をあらためて認識している次第です。過去さかのぼる事1990年当時ミネソタにおいて家庭医療の研修学生を引き受けて以来、既に15年以上も財団と関わってまいりましたが、財団の援助を受けつつ米国での研修を受け巣立っていった立派な先生方が世界中あちらこちらで活躍されている様子を聞くたびにつくづく野口の歴史を感じております。
 私事で恐縮ですが、このたび私自身23年間おりましたアメリカを離れ、フランスパリ郊外にありますパリアメリカン病院内のオフィスで開業診療を始めることになり、フランスの医療現場から見た日仏米医療比較、外来医学教育学、家庭医療学などを新たに日本に発信していく所存でおります。これまでの日米の交流だけで無く、フランス・ヨーロッパとの交流から学べる医療・医学教育も多々あり、今後の野口財団の方向性としてアメリカのみならずフランスにもその活動範囲を広げていくことも必要かと感じると同時に、将来の野口アラムナイは野口英世を越すべくアメリカから更に世界へとその活動を広げていかねばならないと思う所存です。

 私の専門である家庭医療学も最近では日本でホットな話題を提供しており、アメリカ・イギリス・オーストラリアなどの家庭医療が注目されつつあります。世界の医療を救うのはプライマリケアであるといわれるように、わが国でもプライマリケアを全科において行なえる専門医レベルの家庭医を後期研修において養成していく必要性と、現在の各科開業医のプライマリケアの底上げと質の均一化をしていく必要があり、野口財団としても医師の生涯教育にも力を注がねばならないと思われます。今後も理事の一人として、この分野の日本での発展に野口財団を通して寄与できればと望んでおります。
 皆様の益々のご活躍をお祈りいたします。