NOGUCHI NEWS LETTER
米国財団法人野口医学研究所ニュースレター 
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Vol.3  2000.12
野口人間ドックについて
野口医学研究所 理事事務局長兼総婦長
小柳 乃里子


私の野口人間ドック紹介も今回を含めると三回目になる。この記事を読んでいただく読者の皆様に少しでも、野口人間ドックの主旨と活動状況を理解していだだければ幸いである。今回は、良い人間ドックの施設の選び方と人間ドックの検査の限界について話を進めてみたい。

良い人間ドックは、施設の選び方がポイント
私たちは、人間ドックを受けようとする時、何を基準に施設を選択するのだろうか。例えば「会社がその施設を指定しているので、職場から申し込んだ」「値段が自分の希望に合っているから」「その施設が家あるいは会社から近いから」「前回受けたから」「人から評判を聞いて」等その理由は、人によりさまざまであろう。以前、受診者に野口人間ドックを選んだ理由をアンケート調査したことがあるが、単独の理由で選んでいる人は少なく、「評判がよい」「会社の指定」「日本語で細かいことまで相談できるから」が最も多く全体の90%以上を占めていた。ある調査によると、日本人は分娩(お産)や人間ドックは、病気ではないという意識が強く施設を選択する時は、便利さ(距離)が優先され、悪性疾患(癌など)が疑われる場合は、評判(大學病院、有名な医師など)が優先されると報告されている。
日本には、人間ドックを行っている施設は数多くあり、施設間の格差もあると思われるが、人間ドックを受けようとする時、質まで考えて選択している人は何人いるだろうか。人間ドックの質を評価する場合、施設、設備の充実、スタッフの力量、正確なデータ、懇切丁寧な成績の説明と正しい指導、フオローアツプの有無等いろいろな角度から分析することができる。特に最近は、検査機器や医療技術の発達により、検査の精密度もアップし、新しい検査項目を加えているところも多い。ここでは、施設、設備、検査機器等物理的な医療環境のことではなく、もう少し基本的なことで質の評価に触れてみたい。
さて、人間ドックの質を考えるとき人間ドック事業の理念に立ち戻る必要がある。人間ドックの目的は何か(News Letter Vol-2, 1999で既に書いたのでここでは省く)。 時々、日本のマスコミの一部で、「人間ドックは、はたして有効なのか」という話題が取り上げられ、議論の対象になっているのを見かける。その中には、人間ドック無用論まで唱える極端な人が紹介されている。そこで取り上げられているのは、毎年人間ドックを受けていた人が、進行癌で亡くなったという事例である。どうしてこのような悲劇が起こるのだろうか。これには、人間ドックを行う医療機関側、人間ドックを受ける 受診者側、双方に問題があるように思う。
1) 医療機関の問題
まず、医療機関の問題点として、受診者の人数を出来るだけ多くして、収益、利益を上げるための過度の機械化をしている施設がある。この場合、受診者はオートメーション工場のように、次々とひとつの場所から他の検査室まで送られ、そこでは受診者の症状や体質、家族歴などはいつさい考慮されず、一定の検査が一定の手順にもとづいて機械的に進められていく。
 過去に受けた人間ドックの施設の質を評価する場合、問診や診察にどれくらい時間がかけられたかが、ひとつの目安になる。多くの場合、自覚症状や過去の病歴、家族歴を質問紙に書いていくだけで、診察をしてもらった医師から詳細に問診を受けた経験は少ないであろう。中には、極端な例かもしれないが診察をしてもらったのかどうか、誰が医師だったのかもはっきりしないうちに人間ドックが終わってしまうこともある。しかも診察の仕方も画一的で、症状のある部分や気になることについて、念入りに調べてもらったり、説明を受けたりすることもない。おまけに最後には、紋きり型のコンピューターから出された検査結果報告用紙が届き、何が重要なのかよくわからないまま、人間ドックを受けたという安心感だけで仕事に没頭することになる。よって手遅れといつても、後からよく結果を確認すると軽度の異状が指摘されていることに気づくこともある。勿論、その後のアフターサービスのシステムもない。それがどのくらい重要な異常なのか、報告書から伝わってこないのが問題ではないだろうか。日本には、本当に専門家が管理している素晴らしい人間ドックの多いと思うが、収益改善のために人間ドックを併設させている「人間ドックもどき」も多いのが現状ではないだろうか。私は、外観や設備の豪華さと人間ドックの水準とは必ずしも関係ないと思う。
 野口人間ドックでは、これらのことを解消するために、過去の人間ドックの結果を必ず当日持参していただき(前回当施設で受けなかった場合)、診察を受ける際には参考にさせてもらっている。勿論、毎年私どもの施設を利用していただいている方は、そのデータがすべて準備され診察、検査時に参考にされる。また、診察や結果の説明、問題の明確化、生活改善の具体的対策等に充分時間をかけていることは、前回すでに書いたのでここでは省く。さらに野口人間ドックでは、優先度を明確にするためにいくつかの判定区分を用いている。例えば、1)正常域:検査した範囲では特に異常をみとめません。2)僅かに異常;検査結果に異常を認めますが、日常生活には差し支えありません。3)要観察:日常生活に特に問題のない程度に異常を認めます。6ケ月をめどにもう一度検査をうけてください…等である(この判定区分は、日本病院会、臨床予防委員会の指導基準を準じたものである)。又、日本では、日本病院会が、人間ドックの施設を選ぶとき目安になるように「優良施設」について認定制度を設けている。
2) 受診者側の問題
次に受診者側の問題としては、検査を受けっぱなしにしている人が実に多いということである。せっかく人間ドックを受け、いろいろアドバイスを受けても、忙しさにまぎれたり、何かと重要な病気が発見されることを恐れたりして、専門医を受診しない人が多く見受けられる。人間ドックで指摘される病気のほとんどは、早期の状態か、日常生活で注意を要する程度のものが多い。せっかくのアドバイスを無視し、病気を進行させてしまうのでは、何のために、健診をうけたのか意味がない。人間ドックは、全身の健康状態を検査する総合的な健康診断だ。自覚症状のない早期の生活習慣病を発見するうえで大変役立つ。自分の健康状態をいろいろな角度から分析し、将来病気に発展していくかもしれない小さい異常を見つけ、生活習慣を変えていく。これが健康を保持増進していく上で大切なことだ。
 以上の観点に立ち、受診者と緊密な連携を大切にし、人間ドックの効果が最大に発揮されることを目指している施設こそが、良い質の人間ドックを提供していると言えるのではないだろうか。要するに、人間ドックは受診者本人の “Quality of Life”を高めるためのものであり、受診者のためにある。そのため、野口人間ドックでは、アメリカと日本の両方の医療システムを理解する経験豊かな医師を揃え、スタッフ教育に力を注いでいる。
人間ドックの検査の限界について
人間ドックは万能ではない。異常なしは、現在の異常なしで将来を保証するものではない。人間ドックは、危険をなるべく伴わず、限られた予算のなかで、効率よく異常を発見し、しかも見落としがないことが要求されている。しかし、人間ドックはすべての臓器の異常を精密に調べているわけではない。たとえドックで異常なしといわれても、検査しなかった臓器に異常が存在する可能性もある。また、検査では、とらえられないくらいの小さな異常が存在することもある。一方、心疾患や高血圧疾患などでは、状態が刻々と変化するために、検査時には異常なくても急変を起こすこともある。
 

また、各検査は、厳しく精度管理され、再現性が確認されたものであるが、正常値はあくまでも多くの正常人の平均値である。したがって、検査値がたとえ正常範囲に入っていても、実際にその臓器に関して何らかの症状がある場合は専門医を勧められる こともあるかもしれない。逆に検査値が軽度の異常を示していても、それはその人にとって正常な状態の場合があり、さらに検査が追加され何の異常もなければ経過をみることになるかもしれない。
 このような、人間ドックの検査の限界を受診者に知らせ、せっかくの検診を無駄にすることがないようにすること。人間ドックは、「明日からの生活をさらに自信にあふれたものにするためにある」ということを受診者に自覚させることができる施設こそ、すぐれた人間ドックの条件を満たしているといえる。野口人間ドックはそれを目指している。
(人間ドックに関する問合せ)
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