NOGUCHI NEWS LETTER
米国財団法人野口医学研究所ニュースレター 
■発行 米国財団法人 野口医学研究所 東京都港区虎ノ門1-20-7興武虎ノ門ビル5階
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Vol.3  2000.12
野口医学研究所と日米医学医療交流財団のジョイントセミナーを記念して
野口医学研究所 最高顧問会議議長
浅 野 嘉 久


21世紀を余すところ数十日に控え、ここに野口医学研究所とその姉妹財団である日米医学医療交流財団のジョイントセミナーが開催されたことは誠に記念すべきこととお慶び申し上げます。
両財団共、色々と紆余曲折を経て本日の結果を見ることが出来ましたが、今まで随分と遠回りをしたり誤解も生じるなどして、なかなかジョイントを見るに至りませんでした。しかし、思う所、目指す所は同じである故、尾島先生、大西事務局長、北先生等の努力の結果、こうして今日、貴重な一日を割いて両財団関係者を交え、若く将来ある医療従事者が一堂に集い、医学、医療の発展の為、知識、技術や意見の交換が出来ることは正に歴史的なPageantと云えましょう。
先ず私がここに申し上げたいことはどんなSituationに置かれても歴史的事実を曲げないFairnessを持った人々の集団であって欲しいと云うことです。今までの両財団の歩みの中には、歴史の途中で消えて行った人、人の築いた実績の上にあぐらをかいている人、最初から最後まで医学交流にのみ主眼目を置きコツコツと実績を積み上げている人など千差万別な人々が居られます。最初に財団を立上げた人、それを発展させた人、恩恵を蒙った人それぞれに役廻りがあったワケで、決してそれらの一部を歴史から葬り去ってはなりません。私は日米医学医療交流財団の創設期に田中聖英博士と共に物心両面で随分と骨を折った憶えがあるにも拘わらず、歴史の表には本日初めて戻って来ることが出来ました。これは結果としては宜しいのですが、その道程では少なからず失望を禁じ得ぬ時節があったことをここに敢えて述べて置きたいと思います。
今回のジョイントセミナーについては私が3、4年も前から“源は同じ、目的も同じ、ましてや関係者のほとんどが多くの共通点を持つのだからなるべく協力し合ってやろうではないか”“どちらが主とか従とか云うのでもなく協調してやれることはとにかく一緒にやりましょう”とラブコールを送り続けて参りました。やっとのこと、尾島先生や北先生の尽力を得て本日のセミナーが“両財団の肝煎り”でスタートすることが出来たのです。どうか皆さん、今日のこの感激を忘れず、エールを送られ支援を受けた人々は、次の世代ではエールを送り支援をする側に立場を変えながら、この両財団の運動を継承して行って頂けませんでしょうか、切なる気持ちです。
次に、医学交流と云うものは医師だけのものではないと云うことです。尾島先生の理念と共通する私の考えは、医療と云うものはメディカルスタッフ、コメディカルスタッフ及びパラメディカルスタッフ全てのチームワークによって為されるものが一番理想的だと思うのです。アメリカは細かい問題はあるにしても日本よりは半歩も一歩も進んで正にチーム医療を実践している国ですが、私は、私達が謙虚にこれを学び実践し、更に発展途上国にそれらを伝えることこそ真の医学交流と云えるのだと確信しています。
最後に、医師並びに全ての医療に従事するスタッフ達に敢えて苛酷な要望をここに表して置きたいと思います。医療スタッフ、特に医師たる者は際立って有能でなくても良い、しかし、しっかりとした医学の基礎を学び人格的に全きたれ、と申し上げたい。患者に与えるプラシーボ効果はただ単にクールで優秀そうな医師やコメディカルスタッフから期待することは出来ません。分別のある常識を備え、更に患者一人一人の心の襞に入り込める様な、または入り込もうとする努力を感じさせることの出来る医師やスタッフを、私も患者になり得る立場にある人間の一人として歓迎し、望みたいのです。
医学交流と云うものは単に医学、医術を学ぶ為の交歓でなく文化の交流と云う重要な意味を持つものでなくてはなりません。何度も、アメリカを例にとって申し訳ありませんが、我が同志トーマスジェファーソン大学の元副学長であり医学部長であったジョセフ・S・ゴネラ博士は良き医師、教授、副学長である前に良き知識人であり立派な社会人であったと思います。日本での野口医学研究所の立上げを共に苦労した尾島先生にしても、師が持って居られるBackgroundを少しも匂わせない、しかも人を差別しないで誰にでも紳士的な態度を取られるなど、常に世の文化に気を配り、ともすれば医師が自身を特別な存在と勘違いし人にヒンシュクを買う点を自ら戒めると共に、これを医学教育に取り入れるなど医学教育と云うより全人格教育を志されて居られる点に私は深い感銘を受けて居ります。
どうか医学の交流と併せて、人と肩が触れ合ったら即Excuse meと言える、医師と云えども長幼の序列をわきまえ10も20も年の離れたおじいさんやおばあさんには敬語の使える社会人&医療スタッフになる様努力して頂きたいと希望致します。技術は身に付いても付け焼刃のマナーはいざと云う時身から出ることはありません。あなた方を受け入れてくれる国々の医療スタッフはあなた方の持つ医学、医術を推し量る前にあなた方の人間性と総合的な真の教養を見抜きます。必ずその点を忘れず、良き医療スタッフ=良き社会人なりを目指して頑張って頂きたいと思います。