NOGUCHI NEWS LETTER
米国財団法人野口医学研究所ニュースレター 
■発行 米国財団法人 野口医学研究所 東京都港区虎ノ門1-20-7興武虎ノ門ビル5階
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Vol.1  1999.5
医学交流セミナー、医学交流プログラム選考会に参加して
東京大学 6年
松 永 直 久
 私は1998年12月5日の行われた、野口医学研究所の医学交流セミナー、ならびに翌日の医学交流プログラム選考会に参加致しました。いろいろな刺激を与えていただいた機会となりましたが、その感想を以下に述べさせていただきます。まず、医学交流セミナーについて。
 このセミナーでは医学交流プログラムの選考方法、アメリカの医学生を迎えての日本での臨床研修の報告、実際にアメリカで研修実習を行った先生方のお話など、内容が盛りたくさんでした。アメリカへの医学臨床研修の実態などを生の声で伺えることはなかなかなく、このような機会はたいへん貴重でした。「自分たちが違う医療文化から来たこと、語学面でのハンディがあること、それらを考えて追いつくために必死で頑張りました。しかし、そうしていると、不思議なことにだんだんと認められてくるのです。」とかく厳しさばかりに目がいき、しり込みしがちなところにこのようなお話が聞け、決意を新たに致しました。また、出版されている臨床研修の本で拝見した方のお話も多く、本で読んだ時とはまた違った新鮮さをもちながらお話を伺えたりと刺激の多かったセミナーでした。 セミナーの際に配られた資料も大変充実していました。実際に採用面接について詳しく知る立場にいらっしゃる津田武先生のお言葉には臨場感があり、「アメリカで臨床医として研修するためには、医学の研鑽だけでなく広くアメリカ社会が何たるかを学ばなければならない。」というお言葉は、臨床研修のことを考えていると、自分がどうなるかという視野だけになりがちなのを気づかわれ、広い視野を持つ必要性をあらためて痛感致しました。また、日本での研修に応募したい学生のCV、Personal Statement、Proceedingも掲載されていたのには驚きました。とくに、CV、Personal Statementは海外でポストを得るには必要不可欠であるにも関わらず、医療関係のものは見たことがなかったので、食い入るように拝見させていただきました。自分が書いたものの稚拙さへの恥ずかしさと、こんな風に書いてみたいという想いが入り交じりながら、読み進めていきました。このような機会が与えられたことを本当に感謝しています。確固たる臨床留学の希望がなくとも、少しでも興味のある方には是非お勧めしたいセミナーでした。
 
セミナーの翌日の医学交流プログラム選考会は、心地よい緊張感と頭をフル回転させる充実感に一日中ひたることができました。選考会は応募者が3人1組でまわり、英語の面接を5回、日本語の面接を2回、診察の実技を1回行います。英語の面接では、医学的な話題を扱う回もあり、英語力だけでなく、自分の医学的な思考力のなさとの闘いもあって、ある意味とても楽しめました。しかし、このように医学関係者との面接を英語で受ける場面というのは日本ではなかなかありません。回を重ね、慣れてくるとともに、このような機会を与えてくれるありがたさをひしひしと感じました。診察の実技では、外来経験がほとんどなく、基本もおぼつかない自分へのもどかしさとともに、模擬患者さんにかけるご迷惑に恐縮しているうちにあっという間に時間が過ぎていきました。まだ学生で、しかもOSCEの経験もなかった私には大変貴重な体験となりました。採点もされている緊張感の中で行う機会は普段ほとんどないでしょうが、CSAのことを考えると、これも大変ありがたい体験でした。
 
いままで、幾度となく、「あまり日本では味わえないこと」を体験させていただいた旨を述べてきました。しかし、これは、「本当に必要なものは何か」ということを野口医学研究所の方が追求なさった結果、ある意味「当たり前」に生まれて来たものなのかもしれません。後進に体験を教えるにとどまらず、このように、必要だと思われる事柄は積極的に提供なさっている姿勢は、野口医学研究所のすばらしい点です。今後も、いろいろな事柄や異質なものについても、柔軟に吸収しながら、ますます発展されていくのでしょう。その発展に刺激を受けながら、私も日々向上に努めたいと存じます。今は、自分の至らなさを実感する日々ですが、そこからどのように目標への一歩を踏み出すかが大事なのでしょう。目的を失わずに、そして、アメリカに行くのが目的なのではなく、行くことによっていろいろなものを身につけて、それを後進に、医学の世界に、そして社会にどのように還元していくかを念頭に置いて一歩一歩努力していくつもりです。
 貴重な機会を誠にありがとうございました。これからも医学交流セミナー並びに医学交流プログラムのますますのご発展をお祈り致します。