今回、野口医学研究所のサポートをいただきまして、ハワイ大学で行われたClinical Reasoning Workshopに参加させていただきました、東北大学新六年の今野健一郎と申します。研修終了から一週間がたち、現在San Francisco General Hospitalの循環器内科で実習しております。一週間前のことを振り返って、参加の理由、研修の内容、またその研修から自分が得たものについて述べたいと思います。
もともとこのワークショップに参加したいと思うようになったのは、海外の医学校で行われている医学教育に興味があったこと、自分の臨床推論能力を高めたかったこと、将来アメリカでのレジデンシ―も考えている観点からアメリカの医学部の雰囲気が知りたかったことなどがその理由です。
実際にワークショップに参加してみますと、その内容は大変に充実したものでした。一週間でトータル20症例にもおよぶ模擬患者さんとの医療面接&身体診察(H&P taking)があり、一人の患者さんあたり15分の持ち時間で、できる限り集めたH&Pの情報から、その都度自らのアセスメントやプランを述べ、それぞれのPatient Encounterを締めくくるというハードな実習が中心でした。これらの過程を日本語でやることすらまだまだ難しい私にとって、この過程を英語でこなすことは大変に勇気のいる、また大変にプレッシャーのかかる経験でした。このようなプレッシャーを感じていたことと、さらに、周りのみなさんが、英語がとても上手である様子などを見るにつけ、初日から三日目くらいにかけてとても落ち込み、自分にはとてもみんなのようにはできないと、ふさぎこんでいました。
ですが、二日日、三日日と経つにつれ、自分が英語で患者さんと接することに少しずつ慣れ始めていることを感じました。また、ワークショップ以外の時間、いわゆるhappy hourにワークショップの仲間たちと交流を深めるにつれて、少しずつそのような気分の落ち込みから回復していく自分に気付きました。私よりも何歳も若い彼らが、とてもやる気にあふれ、それぞれに能力にあふれながら、一人ひとり悩んだり、辛いことがあったり、それでも諦められない夢があったりと、みな人間的な魅力にあふれていることを知って、彼らから元気をもらったのだと思います。
そして自分の考えがだいぶ変化しました。こんな短期間に、です。自分はこのハワイで最高のパフォーマンスをすることが目標なのではない、自分の力を誇示するために来たわけでもない。自分はここハワイに学ぶために、いまの自分に欠けているものを見つけ出すことのために、いわば自分の現在のproblem listを作るために来たのだと改めて考えるようになりました。そしてそのproblemを少しでも改善することができたなら、あるいは改善の糸口だけでもつかめたなら、ここに来たことは成功なのだと、そう思うようになりました。
そのように腹が決まってからは毎日のセッションを楽しめるようになりましたし、英語でのPatient Encounterも楽しむ余裕が生まれ始めました。Problem Based Learningのセッションでみんなと議論を交わすこと、また日本人やインド人のレジデントの方たちとお話しする機会、現地の医学生との交流、町先生のencouragingなlectureなど、それぞれの時間をとても大切に過ごせるようになっていったと思います。それぞれの機会に頂いた御縁をそれぞれに大切にしながら、努めて積極的に学びつつ、楽しむこと。町先生のおっしゃられているActive Learnerとは、私にとってはそのような学びの在り方ですし、それは私が目指す生きる姿勢そのものでもある、と今では考えています。
このレポートがどのような形で公開されるのかわかりませんが、もしこれを、私たちの後に続こうとされている皆さんが読まれるなら、その方たちに伝えたいことは、このワークショップに限りませんが、苦境はあるけれど必ずチャンスもまたある、ということです。このハワイでの研修は日ごろ皆さんが大学で受けている教育とはまたちょっと違った機会や時間を提供してくれます。その「違い」をぜひ楽しんでください。最初は私のように戸惑うかもしれないけれど、周りのたくさんの魅力ある仲間たちと一緒になって、ぜひこの機会を楽しめるように、戸惑いを喜びに、苦境をチャンスへと変えられる力を身につけて欲しいと思います。
最後に、ハワイへ来るに当たって面接をしてくださった町先生をはじめとする先生方、事務連絡などを担当してくださった医学交流担当の方々、ハワイで私たちをActive Learnerへと力強く押し上げてくれたGreene先生やYamada先生をはじめとする先生方、現地での素晴らしいコーディネートをしてくださったMargitやRay、そして、ハワイで出会った素晴らしい仲間たちに感謝を述べて、この拙い一文を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
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