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アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

高橋里枝子

 人々の健康には、文化、経済、医療保険制度など様々な因子が関係しています。TJU研修に参加させて頂いた目的は、これらの因子が米国でどのように人々の健康に影響しているかを直接見て理解する事でした。今回の研修では、この目的を果たし、かけがえのない経験を得ることが出来ました。
 初日のInternal Medicine Departmentでまず気が付いたのは、専門職による仕事の分担が徹底されているということです。日本の病院における実習では採血も点滴もすべて医師が行っている様子を見ていたので、TJUでは検査技師が採血を行い、看護師が点滴を確保している状況が斬新でした。一方で、医師の主な仕事は与えられたデータから患者の状態を評価し、医学生や研修医と話し合って治療計画を立てることでした。このような環境ではチームワークが重要であり、医学生もそのチームの立派な一員として問診や診察を行っていました。臨床実習において医学生をチームに参加させることは、将来的に協調性のあるリーダーとしての医師を育てることにつながるのだと思います。
 Emergency Departmentでも医学生はチームの一員として活躍していました。患者を研修医が診る前にまず医学生が問診と身体診察を行っており、一日250人もの患者が訪れるというこのdepartmentでは医学生も含めて効率的に診療を行うことが不可欠であるようでした。50床近くあるベットは全て埋まっており、重篤な患者もいれば軽症の患者もいました。日本の救急センターではほとんどが命の危機にある患者だったので、軽症患者の多さは印象的でした。患者が近所の診療所ではなくあえて大学病院の救急センターを訪れる理由として、診療所の利便性のなさ、医療費、保険制度などの様々な事情があると考えられます。医療制度によっていかに診療が影響を受けるのかを目の当たりにしました。
 その一方で、誰にでも受診できる診療所として、学生が主体となって活動しているJeffHopeというプログラムが印象的でした。このプログラムは学生が組織しており、主にホームレスの人を対象に無償で診療を行い、禁煙教育、予防接種なども行われていました。私自身もTJUの学生に混ざって問診をとり、多くの人の血圧を測定するお手伝いをさせて頂きました。現地の学生と話す機会があって良かったです。
 Outpatient Family MedicineではJeffHopeのような経験をすることが出来ました。医師が自ら患者の問診を行い、家庭でできる体操のプリントを配布するなど予防医学も推進されていました。日本における家庭医学はまだ真新しく、患者だけではなくその家族についても気にかけている様子が新鮮で魅力を感じました。また、主訴が「排便の異常」という症例を経験し、日本ではまず過敏性腸症候群が疑われるような症例でしたが、鑑別診断にCeliac病が第一に挙がっており、検査もまずはCeliac病を否定するためのものが施行されていました。このようにcommon diseaseの違いによって診療が変わるのだということに気づきました。
 Outpatient Pediatricsでは感染症科や小児科に興味がある私にとって特に貴重な経験をすることが出来ました。様々な患児が訪れましたが、その中でもMRSAによる爪周囲炎は印象的でした。日本の実習ではMRSAというとまずvancomycinでの治療を経験していましたが、この患児に対してはclindamycinが処方されており、ここでも診療の違いを実感しました。さらに、このdepartmentでは保護者に対して診断や治療などを書面にして渡しており、心配している母親にとってとても参考になると考えられました。この制度は日本の小児科でも導入出来るといいと思います。
 今回の研修では様々な経験をしましたが、その中でもMajdan先生とのClinical Skillsの実習は特に価値のあるものでした。Majdan先生は学生に対してとても親身で、献身的な態度は多くの学生に尊敬されていました。先生のような教育者をもち、最新鋭の実習施設にも恵まれ、TJUの学生をうらやましく思いました。また、TJUの学生と一緒に行ったstandardized patientとの実習も良い経験になりました。Standardized patientは医学知識も経験も持ち合わせている様子で、ボランティアというよりもまるで教官のように思えました。日本ではstandardized patientを迎えて実習を行うことはあまりないのでこのような機会は貴重でした。
 TJU研修に参加させて頂き、他では得ることの出来ない大切な体験をすることが出来ました。米国での医学教育、診療、社会因子を自分の目で見ることで、患者それぞれにおける状況に対して気遣いを持てる能力を養えたと思います。このような貴重な機会を頂き、ありがとうございました。

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