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アラムナイ活動及び研修レポート

トーマスジェファーソン大学病院内科研修報告書

 

西川 豪

今回私はトーマスジェファーソン大学病院内科にて三週間研修させていただき、大変貴重な経験をさせていただきました。内科研修では主に入院患者のケアをしていました。
まず日々の業務で日本と違った方針で行っているのは、毎日チーム全体で回診することでしょうか。日本ではチーム回診というと、上級医及び研修医と共に行う回診で多くても三人ぐらいで行うものが多いと思います。ですが、トーマスジェファーソンでの回診は上級医、二年目レジデント、研修医二人、医学生数人、薬剤師、薬学部学生、と非常に多人数のチームで構成され時に十人を超えることがありました。さらに加えて、患者のベッドサイドでさらに担当看護師さんもチームに呼ぶこともあります。このチームで毎日患者を一人一人回診し、患者自身を含めたチーム全員で現状を確認し、診断・治療計画を立てていく点が日本では経験できないことでした。大人数で患者を一人ずつ診察していく方針では一見小回りが利かないと思われますが、実際は患者の意見も含めたよりよい治療方針を立てることができる一番の近道と感じるとともに、患者の満足感も高く、また医学生、薬剤部学生の教育の場としても最適と感じました。


また内科だと患者は慢性期疾患を有していることが多いため、退院後家に戻ることができそうか、それとも施設などに戻ることになりそうかなど、どこに帰れるかが問題となることがあります。そのために、チーム内での話し合いでも入院の時点から退院後の計画が始まっており、同時にソーシャルワーカー(SW)との話し合いも毎日行われ、常に治療段階の情報を共有し連携して退院後計画が進みます。日本ですと、入院の途中からSWが介入し、多くて数日に一度連絡取り合う程度ですが、時に治療方針が変わったりして退院計画も変更しなくてはならないのにSWに連絡がいっていないために退院が遅れたりすることもしばしば経験したことがありました。


教育面では、早い段階からリーダーシップを育てることも一つの目標なのだということも感じました。二年目のレジデントは、上級医がいないときは常にチームのまとめ役であり、治療方針を決定する役であり、教育する役割も担います。また、私自身感じたことですが、チームのそれぞれの役割分担を調整し、一年目研修医や医学生や私のような外部からの研修生のそれぞれの力量を判断し、レジデントがそれに相応する仕事を任せていくのだな、と感じました。私に関しては、初めはプレゼンのみさせてもらうことができ、その後はしっかりと患者ケアができていると思われ始めたぐらいから他科コンサルトや外来予約の調整もさせてもらえ、その後レジデントの信頼をより得ることができたのか、研修の最終週にはかなり内容の複雑なコンサルトなども任せられるようになりました。


方針決定や医学的な思考に関しては、あらゆる医療的な判断一つずつ理由づけをしていく点が印象に残りました。例えば検査一つオーダーするにも、レジデントから“なぜその検査が必要なのか?”と質問され、相手を説得させるだけの根拠を伝えなければなりません。鑑別診断に関しても、日本ではある程度の可能性を考えるのみですが、アメリカでは根拠・論理でもって疑っている疾患を述べなければなりません。これらからは、医師としてしっかりと論理でもって進めていくということ、また医療資源を無駄にしない、ということを痛感しました。


私が実際研修で行ったことですが、当初の目標としては“アメリカの医学生と同等のパフォーマンスをすること”及び“チームの一員として貢献すること”と掲げていました。一週目では初日に患者を一人割り当てていただきそのプレゼンを二日目よりやらせていただき、その後も他科コンサルトをやらせていただいたりさせていただきました。二週目に入ってからはコンサルトともより深く関わり、時には一日数回コンタクトを取って最新の情報を入手したり、退院後の患者の外来予約や外来採血の調整を任せてもらえたり、最終週になってからは担当患者に関するあらゆる仕事はまず私が行うようにしてどうしても権限上できないもの(検査オーダーなど、電子カルテにアクセスして行う仕事)のみインターンやレジデントにお願いする、というぐらい担当患者を任せていただくことができました。インターンも多忙でなかなか患者のところに足を運ぶのが大変な時など“さっき話し合った今後の検査予定を説明しておいて”と頼まれたり、また研修の初めの頃はインターンも私の担当患者を私と同じぐらい一日に何度も様子見にいって私がチームに持ちかえる患者の最新の情報をダブルチェックしていたにも関わらず次第にインターンが患者を訪れるのは最小限になり、私が持ちかえってくる情報をより信頼いただいたりしました。患者のカルテに関してはまだトーマスジェファーソン大学病院では紙カルテで、私は公式のカルテに記載することは許可いただけなかったので別の紙に書いていました。そのカルテ内容をチェックしてもらいたいと思い上級医のDr. Saltに添削をお願いしたところ快く了承してくださり、大変ためになるフィードバックをいただきました。その次週にも、Dr. Saltに添削いただく機会をいただき、非常に親身に教育していただいたと思いました。


一点残念だったことは、私は外部からの研修生だったため電子カルテなどの使用権限が制限されていたことでしょうか。電子カルテで検査結果を参照したいとき、また採血オーダーを入れたいとき、毎回インターンや医学生にカルテを開いてもらう必要がありました。医療において患者情報の守秘義務は徹底されなければならず、また現地の医学生やインターン、あらゆる医療スタッフは電子カルテのアカウントを取得する前にトレーニングを受けたうえ、電子カルテにアクセスできる権限を発行されることは承知しておりますので仕方がありませんが。しかし、可能ならば今後の研修生に関して、研修開始前の準備期間が長くなったとしても電子カルテを使用できるような手続きをしていただくことができたらより一層充実した研修が送れるのでは、と感じました。

 

まとめになりますが、アメリカの医療は患者ケア、レジデントやインターンや学生の教育、医療コスト、それらをすべて満たすべく現在の形式になっていったのではと感じました。回診など小回りが利かない点もありますが、それでも患者の満足度やスタッフの教育を両立させている現行のシステムは非常に効率の高いものと実感しました。 最後にこのような機会を与えて下さった野口医学研究所に心からの謝意を表したいと思います。

 

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