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アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

岩佐美穂

   私は、以前から米国の医療に興味をもっていました。最先端といわれる米国の医療はどのようなものか体感したいと思い、今回の研修に参加させていただきました。研修に参加する前の私は、米国での研修に憧れを抱き、USMLEの勉強をしてはいましたが、実際に将来米国でマッチングをするという覚悟はしていませんでした。一人で海外に行くことも、米国に行くことも初めてでした。大学では、クリニカルクラークシップもまだ始まっておらず、臨床の現場に出るのもほぼ初めての経験でした。米国に着いて、共に研修を受ける方々にお会いしたときには、みなさん海外での経験が豊富で、優秀な方ばかりで引け目を感じることもありました。しかし、ラディさんをはじめ、Jefferson大学のスタッフの方々の支えもあり、なんとか実習することができました。金曜日のオリエンテーションで、質問を考えておくようにと言われたので、自分なりにたくさん質問を考えて月曜日からの実習に臨みました。初めは、忙しそうなresidentに、いつ質問をすればいいのか、質問をして迷惑ではないだろうかと思い、なかなか質問できませんでした。月曜日の午後にFamily medicineに行ったのですが、そこで、私がresidentに遠慮がちに、「すいません、今質問してもいいですか」とお聞きすると、residentは「今質問しないと、あなたは長い時間をかけてアメリカに来た意味がなくなっちゃうのよ。チャンスを生かしたいなら、もっと積極的に聞いていいのよ」とおっしゃったのがとても印象的でした。それからはとにかく積極的に学ぼうと行動することができました。自分で挙げた質問は全て聴くことができましたし、質問もどんどん挙げることができました。
 コミュニケーションの点で私が気付いたのは、日本の学生が話す際に、声が小さく、英語に自信なさげに話していると、米国の人には、あまり通じないということです。それに気づいてからは、文法に自信がなくても、大きな声で、相手の顔を見て話すように心掛けました。そうすることで、相手に自分が言いたいことが伝わりますし、自分の思いも伝わるように感じました。日本人はコミュニケーション能力が低いといわれることがあります。コミュニケーションとは、話のうまさや、言葉の選び方にもよるかもしれませんが、表情や、声色も大いに関係していると思いました。このことを学べたことは私にとってとても大きなことでした。患者さんとも話せるようになりましたし、患者さんから話してくれることも増えてきました。それまではきっと自信のない、暗い表情をしていたのだと思います。Residentの後ろからでも、患者さんの話を患者さんの目を見て聞き、適切に相槌を打ち、明るい挨拶をすることは患者さんへの印象を大きく変えたと思います。また、米国の優れたresidentは、朝早くに病院へ来て、患者さんと対話する時間を大切にしているそうです。このように、患者さんを大切にすることは、コミュニケーションを円滑に行うことにつながると思います。クリニカルスキルセンターでの、Dr. Majan Josefの授業で一番印象的だった言葉があります。「患者を診察するときに、病気をみるのではなく、一人の人間として診るように。」当たり前のことかもしれませんが、今まで聞いたことがない言葉だと思いました。医療における、患者さんとのコミュニケーションにおいて、将来、ずっと心に留めておきたいです。
 コミュニケーションと積極性を意識することで、たくさんの友人をつくることもできました。研修が終わった金曜日の夜や、翌日の土曜日には、Jeffersonの学生の方がそれぞれ遊びに連れて行ってくれました。どちらも一対一だったので、英語でずっと会話していられるかと不安もありましたが、日常の話から医学の話まで、話が尽きることはありませんでした。中でも、医学の話では、日本と米国での医療の違いと、互いの良い点や改善点について話し合いました。Jeffersonの学生も、日本と米国の違いにはとても関心が高く、積極的に私に質問してくれました。私もいろいろな話をきくことができました。特におもしろいと思ったのは、日本では当たり前の、国民皆保険制度を米国の学生はとてもすばらしいと絶賛していたことでした。彼らにとって、毎回保険のことについて気にしなくてはならないのは相当面倒なことで、自分が行いたい医療が行えないこともあるそうです。他にも、授業についての話では、ノートを見せてくれて、どのように行われているのかとか、カリキュラムはどのようになっているのかなど、大学生活についても話しました。学生同士なので、授業やカリキュラムの素晴らしい点や、改善点を本音で言い合えるのでおもしろかったです。私の印象では、座学の授業は日本と同じように行われていると感じました。授業時間数はJeffersonでは少なく、自習の時間が長いです。自習時間には非常に長く勉強に時間を割いていると感じました。また、1年生のうちからOSCEAの手技の練習を行っており、実技に重点が置かれていることも印象的でした。
将来のキャリアについてとても参考になったのは、津田先生と佐藤先生のお話を聞けたことです。実際に米国で医師として勤務されている方のお話を聞けることはとても貴重な体験でした。お二人とも親身になって私たちにアドバイスをくださりました。お二人ともに共通していたのは、なぜ米国に来たいのかを明確にするべきだとアドバイスをしてくださったことでした。それまで、米国でのresident研修が憧れだった私は、そこで深く考えさせられました。現状では、まだ日本でポリクリすら経験しておらず、日本で学ぶことはたくさんあると感じました。日本でもっと勉強してたくさん経験を積みたいと思いました。そして、日本での経験を積んで、米国で勉強したくなったときのために、英語の勉強とUSMLEの勉強を続けようと思いました。
 この研修で、日本と米国の医療現場のさまざまな違いを体感しました。米国の医療で良いと思った点は、医師が患者に対して割く時間が長いこと、看護師による事前評価がシステムとして組み込まれていることです。看護師の事前評価により、医師の診察がよりスムーズに行われていました。また、家庭医制度があることで、家庭医と患者の距離がとても近いと感じました。医師の勤務体制にも違いがありました。米国では、シフトがはっきり決まっていて、シフト中は忙しくても、シフトが終わればプライベートな時間を持つことができます。日本では、勤務時間は決まっているものの、残業をすることが多く、医師が疲弊してしまう状況が多く見られます。疲弊した状況で医療行為をすることは大変危険なことであるということが米国での考え方で、私もそう思います。根本には医師不足や、医療費が安いことが問題として挙げられると思いますが、今後、少しでも日本の医師の勤務状況が改善されるといいなと思いました。
 一方で、日本の医療の良さに改めて気付くこともできました。まず、第一に挙げられるのが、国民皆保険制度があることです。米国では、保険によって受けられる医療に格差が生じていますが、日本では、基本的には平等な医療が受けられる制度が整っています。また、看護師が診察の際に医師と同室にいることが多いことも良いことだと思いました。患者さんによっては、医師と一対一だと緊張してしまう方もいらっしゃいますが、看護師がいることで、リラックスできると思います。また、日本の患者さんのモラルが高さに改めて気づきました。米国では、待つことが嫌という理由で、軽傷なのに救急に来ている患者さんがいらっしゃいました。医療費が払えないという理由で来ている方もいました。また、お金がないので、普段から家庭医にかかる習慣がなく、家庭医を持っていないので救急に来るという患者さんもいらっしゃいました。救急での研修の際にフェローの方と米国の救急医療の現状についてお話させていただいたのですが、このように、救急医療を必要としていない患者さんが救急に来てしまうことで、米国の救急医療が疲弊しているとおっしゃっていました。日本も救急医療が圧迫されていると言われていますが、米国の現状は日本よりも悪いと思いました。
 私の大学でのポリクリが来週から始まります。今回の研修で学んだことを活かし、コミュニケーションに重点をおくつもりです。研修を通して、もっと医学を勉強したいという意欲がわきました。また、同じ研修に参加していた方々の意識の高さを感じ、もっとがんばろうと思えました。今後も日本で切磋琢磨し、互いに成長していけたらと思っています。

最後になりましたが、この研修の機会を下さった野口医学研究所創立者の浅野嘉久先生をはじめとした野口医学研究所の皆さま、コーディネーターのMr. Michael Kenney、Thomas Jefferson大学の皆さまに感謝を申し上げます。大変貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。
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