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アラムナイ活動及び研修レポート

TJUでの実習レポート

白井 優

  アメリカの医学教育、そして医療制度はどのように違うものか、それを体験するべく、今回参加させていただいた研修。結果から言えば、やはり「自然な」スタイルでそれぞれの仕事をそつなくこなすことができる環境が存在しており、非常に魅力的であった。どの科においても、専門性が細分化されており、医師の立場から見た場合、医師は医師のすべきことにのみ専念できる環境であるともいえる。
 翻って、日本で医師の行う手技は非常にバラエティに富む。結紮から点滴、縫合から中心静脈栄養まで研修医のうちからその手技を習い、初めからそれらを広く浅くこなしていくということをよく聞く。こちらでは、そういうことはする機会はほとんどないか、全くなく、それぞれ専門家集団がひとつひとつの手技を各々でこなすというとてもマンパワーに富んだやり方をする。
ERでは医学生と密に交流することができたが、医学生という期間でもそれは例外ではなく、研修医や上級医の教えを密にうけることができる体制が整っている。これは、見方を変えれば、教育をお互いに授受する時間と環境がかなり整備されているからということにもなる。この点は、私が研修を通じて最も痛感した点である。教育を授ける者と、それを受ける者のニーズが非常にはっきりしていて、かつ、それを自由にスムーズに行える環境がある。私自身、一人の教授とこれほどまでに時間をかけてじっくりと教わった機会はこれまでなかったし、恐らく今後も日本にいる限りは難しいのではないかと思う。
加えて、もう一点、痛感した点がある。それは、シミュレーション人形や機器を医学教育に上手に取り入れている点である。特に私が素晴らしいと思ったのは、聴診シミュレータの心音増幅器である。これは、教授が聴診している音を無線経由で我々学生にも聴けるようにした機器で、私にとっては革命的な機器のひとつであった。実際の患者さんの心臓の聴診は「確かになるほど、言われてみれば聴こえるような、聴こえないような…」という曖昧なものが非常に多く、私もいったいどのように学習すればよいのか考えあぐねていたところであったため、この機器との出逢い、そしてそれを用いた授業はとても効果的で印象に残るものであったように感じる。技術面で、医学教育の増進が図られるものであれば、取り入れられるものは積極的に取り入れる、トーマスジェファーソン大学の非常に魅力的な教育風土を味わうことができ、勉強になった。
 一方で、チーム医療という枠組み中での個人の位置づけが非常に孤立した集団であるということも個人的には感じ、予想していたよりも簡潔性の強い環境であることも感じた。すなわち、お互いが連携を図って、互いのためにそれぞれの一部を担って働くという位置づけではなく、互いが、自分の役職の範囲内で自分の仕事のみをやりこなす、という認識が強いように感じた。お互いが自らの領域の中で取り組む姿は、非常にシンプルで潔くも映る。この点では、やはり微細な隙間やギャップが生じうる可能性も否定できないと私は感じた。実際、ERでお会いした患者さんはまず看護師に病歴を聴取され、待たされた後、今度は医学生に問診を取られ、身体診察をさせられ、再び待たせられた挙句に、さらにはこの医学生についていた研修医や上級医にもう一度似たようなプロセスを踏ませられるという光景も経験した。患者さんの立場に立ってみるとやはりこういった弊害や専門家集団の隙間に挟まってしまう瞬間が患者さんに来てしまうのは、指摘したい点として挙げておく。
最後に、今回の研修では多くの魅力的な先生方、研修医、医学生に出逢うことができた。これが、何よりの私の財産である。同時に、将来のビジョンを共有し、切磋琢磨できる仲間に出逢えたことも大きな収穫である。
このようなすばらしい機会を与えてくださった野口医学研究所の皆様、そして現地では医学交流担当者の皆様に大変お世話になりました。この場をお借りして心より感謝の意を表します。
誠にありがとうございました。

 

 

津田武先生からのコメント

 

 

今回の研修で「人との出会い」の大切さを認識できたのは非常に大きな収穫だと思います。医師という仕事は、実に「人との出会い」から学ぶ仕事だと思います。この点に関しては、日本もアメリカも違いはないと思います。ただし、その「大切さ」が如何に分かり易く明解に表現されているかどうか、が日米の違いなのかも知れません。これから、日本にいても、アメリカに来ても、数々の出会いがあると思います。ひとつひとつの出会いを大切にし、そこから学ぶことができれば、これからの人生がますます豊かになっていくと思います。「医」と「知」と「矢」の話、素晴らしい話をありがとう。今後のご健闘をお祈りいたします。
津田 武

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